「またですか? 陽一さんと少しお話なさったら?」

美代の声を背中で聞きながら、善吾郎は身支度に一生懸命だ。

「なんも。そったらこと、いつでもできるべさ。今日は本降りさなるから、やっとかんとな」

「お父さん、どこかへお出かけですか?」