『ったく、何だよあれ』




もう追ってこない事に安心すると

急に膝の力が抜けて座り込んでしまった






「ご、ごめん…今ちょっと立てない」


ありえないスピードで走ったせいか
ありえない怖さに遭遇したせいか

心臓がドックンドックン音を立てて鳴っている



なぜか
今になって恐怖が押し寄せてきて涙がポロッと出てきてしまった





『はぁ…お前幽霊もだめな訳?』


当たり前!

あんな人外のもの私にとっては好きになんてなれない!




私は首を何度も思いっきり縦に振った






すると


彼方が私の目の前にしゃがみこんだ





『大丈夫だよ、俺がついてるから』



そう言いながら優しく頭を撫でてくれた






「何で今日そんなに優しいの」


明日雪降るよとか冗談を言っていたら

何だか不思議と大丈夫だと思えるようになってきた