『あ、お帰り彼方君!』
そういってにこやかに笑ったのは
稜雅の母親…俺の親父の妹だ
「ただいま…」
俺はぎこちなく笑いながら返したあと
空いているソファに座った
正面には親父が
斜め右には母さんがいた
本当は心の中で
クソ爺とかクソ婆って呼んでるけど
今日の所は何があるかわかんねえから
一応外面ほどは良い言い方
「で、話って何だ?」
いきなり本題に入った
だって俺は
今更話すことなんてねえから
『決まったんだよ』
「何が?」
『お前の許婚(いいなずけ)だよ、前からいっていただろう』
「は?…」
持ってこられた話は
俺が思っていたものよりもかなり
突拍子な話だった