ダンッ





「くそっ…嫌なのは、あいつがいるからかよ」






由香里がいなくなった教室で

俺は壁にいらだつ気持ちをぶつけていた






初めて


初めて心から好きになれた女だったってのに




その女は俺には興味が全くない


いや、どっちかって言うと絶対嫌われている







そうさ


いつだって手に入れたいものほど


手に入らないんだ…




そんな事

昔から解りきっていたじゃないか







キーンコーンカーンコーン




チャイムが鳴る

今日は奴等が重要な話があるとかで来るから早く帰らねえといけないんだ






俺は無言で教室に戻り

鞄を引っつかんで家路を急いだ