ん…?誰もいないのか…?
そう思い、ふと前を向くと…顔を上げた琉輝と目が合った。

「よぅ。」

そう声をかけたがやはり無言で、そのまま視線を下へ戻していた。

俺はゆっくりと琉輝の方へ向かった。

やっぱりな…誰もいない。
俺は琉輝の隣へ腰を下ろした。
何を読んでんだ…?

「ぁっ…」

それは唯一俺が好き好んで読む、ファンタジー小説だった。(ファンタジーについてのツッコミはするなよ?)
あまりにガン見しすぎたか、琉輝が顔を上げ俺と視線を絡ませた。

「ん?」

「浜谷(はまや)くん?」

「そうだけど…あっ、俺のことは咲って呼んでいいよ。」

初めて喋りかけられた!声初めて聞いた!
キレーな声。