「失敗は成長に不可欠なんて言うけど。
 同じ失敗を幾度も繰り返す子は、好きじゃない」

失敗という単語とはおよそ無縁そうな無機質な声でそう言うと、再び唇を重ねる。

……蛍、見にきたんじゃないの?

そう言おうと開いた唇に、無遠慮かつ大胆に彼の舌がねじ込まれていく。

「……んっ」

蛍を見る山奥にはふさわしくない甘い声が漏れる。

……失敗なのは、もしかしなくても。
  彼氏選びなのではないかしら……。

心に過ぎった意地悪な思いを読み取れない彼ではない。

「ふぅん。
 じゃあ、良かったって言わせてあげる」

銀糸を煌かせながら唇を離し、魅惑的な低い声で耳元で囁くとゆっくりとその指先で服のボタンを外していく。

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