流れているのは、おそらく、きれいな小川。
さらさらという音は耳に心地よい。

私たちが降り立っているのは、その川の傍。
人の足跡など一つもないような砂と石。

クーラーをつけないと眠れないマンションの夜が嘘のように、吹き抜けていく風は心地よい。
同じ日本とは思えないわ――。


大きな石の上に座って、私はさっきからずっと飽きることなく瞬きを繰り返す蛍を見つめていた。

気まぐれに蛍が飛んでくる。

私の手の甲に一つ止まって、しばらく、灯り代わりのように瞬いてくれていた。

(次ページへ)