校門へ出ると、



 もう生徒は誰も居なかった。



 
 桜の木も今はただの緑の木



 に変わり果てていた。



 
 「 実來! 」


  
 後ろからまた那智が着いて来る。



 「 なっ何?? 」


 
 あたしはぴたりと足を止めた。



 「 あっあのさ俺…お前の事さ…。 」



 那智が照れながら話している途中



 「 じゃあね!!! 」


 
 あたしは那智に手を振ると走って、


 
 自転車小屋に向かっていった。



 
 「 誰にも言わないからって

 言おうとしたのに…。 」



 がっくりと肩を落とす。



 

 「 もう那智ったら…あんな所で…。 」



 赤い顔をしながら自転車の鍵を開けた。



 そして



 自転車に跨って、一刻も早く家に帰りたい一心で



 スピードを上げていった。