校門を出ると、
桜の木が朝よりもいっぱいに
咲いていた気がした。
「 ねえ実來。 」
那智は歩き。
あたしは自転車を押していると、
ぽつりと那智が口を開いた。
「 ん何? 」
鞄に入っていたガムを食べながら、
那智に聞く。
「 桜ってさ綺麗だよな。 」
いっぱいに咲いている桜の木を
眺める那智。
「 だよね。 」
那智につられて、あたしも桜の木を眺める。
「 こんなに綺麗なのに、少しの間しか
咲かないんだもんな。 」
「 …ちょっと寂しいよね。 」
いきなり二人は静まり返る。
本当に桜は綺麗なのに、
少しの間しか咲かないんだもんね。
何だか寂しいけど
だからこそ、
咲く意味はあるのかな。
そう思ったりした、
高校1年生の春 ―――