晴明は昔聞いた日本神話を思い出して再び鬼達に問いかけた。


「…大蛇はスサノオに倒されたのではなかったのか…?」


晴明の乾いた声を聞いた鬼達は首を横に振った。


「いいや、大蛇はトドメを刺される前に逃れてたんだよ。出雲から近江までね…。
そこで力尽きる前に富豪の娘に子をはらませた…それがあの方さ。」


前鬼はそれだけ呟くと興味を無くしたように後ろに下がっていった。

晴明は炎を睨み付けたままじっと考え込んでいた。


「旦那…力になれなくてすみません。こればっかりは無理なんです。」


後鬼もじっと動かない晴明の背中にそれしか言う事が出来なかった…。