ミーンミンミンミン…



(蝉…うるさいくらいの蝉の声…暗いな…。)


何も映像の無い暗い闇に包まれた中に蝉の声だけ響き渡る…。


(これは夢なのか?…意識はハッキリしてるが…。)

透は夢を見ているとは思えないくらい冴えた頭でそう考えた。

そんな不思議な状況に戸惑っていると、周りの背景がだんだんと明るくなっていった。


そして目映いくらいの光に包まれた後に見えたのは、足下に広がる碁盤目状の町並みだった。


(何だ?…俺は浮いているのか?どこかで見た町並み…。)

透はどこかで見た事のある町並みを必死に思い出そうとした。
しかし何故か記憶にモヤがかかっているようにハッキリとしなかった。