頬をポリポリと掻きながら、止めておけば良かったという顔の沙綺に、幹矢は一つ頷いてこう言った。


「その話乗った!」


「へ?」


幹矢は呆気にとられてる沙綺の手を引いて立ち上がると、拳を握りしめて叫んだ。


「よし、行くぞ沙綺!ここまで来てナンパをせずに帰るなど、不動家当主の名がすたる!」


「おお!兄貴!」


沙綺は目に涙を浮かべて眩しそうに幹矢を見ると、二人そろって駆けていった。


その様子の一部始終を見ていた透は、うちわを扇ぎながら冷めた目で呟いた。


「なにやってんだか…。」