白蓮の「海」という言葉に真っ先に反応したのは彩音だった。


「うわぁーい!海だ!しーちゃん海だよ!久しぶりだから楽しみだねぇ!」


忍の手を取ってブンブン振りながらとても楽しそうに笑っていた。


その様子を笑いながら見ていた透だったが、一応確認のために白蓮に問いかけた。


「白蓮様、海と言っても京都からは距離があります。俺達がここを離れて大丈夫ですか?」


心配そうに顔を曇らせた透に向かって、白蓮はハッキリと答えた。


「鵺の脅威が去っても油断は出来ないかもしれない。
それでも次の新手がすぐにやって来るならば、わざわざ鵺一人で来る必要は無かったと思わ無いかえ?」


確かに白蓮の言いたい事は的を得ていると透は思った。

鵺と傷を負った刹那が二人で来るよりも、新手と来た方が勝率が上がる。そうしなかった理由が直ぐに味方が来ないから…。
その意見に否定の余地はなかった。