「…よし！そこに行ってみよう…。
いずれは決着をつけなきゃならない。現場偵察がどのくらいの意味を持つかわからないが、見ないよりましだろ？」


沙綺はニカッと笑うとスタスタ１人で歩き始めた。

その後を続くように黙々と沈黙を保った忍が続いた。


「やはり…皆色々考えてるんだろうな…。」


カラ元気、憂鬱、喪失感…そんなマイナスな雰囲気しか感じ取れない仲間に、透は不安感を抱かざるを得なかった。


（こんなバラバラなままじゃ駄目だ…しかし…。）


命を懸けた戦いになるのを分かった上で、それを激励する…透にはそんな言葉が思いつかなかった…。

沙綺に遅れないように後を続いて歩きながら、透は心の中へ問いかけていた。


（なぁ…酒天童子、起きてるんだろ？起きてるなら反応してくれ。）


スサノオの復活は同時に酒天童子の目覚めでもある。
透は確信を持っていたのだ。

するとザワザワと心が騒ぎ出すのを感じた。


『起きてるよ…。特にはっきりしたのは昨夜からだがな。』