「…すまない沙綺、お前の気持ちも考えずに軽率な事言って。」


透は自分の言った言葉が、急に幼稚だったと感じて恥ずかしくなった。


「謝る必要はねーよ。皆それぞれ戦う理由があるはずだからな。
…んじゃ!様子見に来ただけだし、もう寝るわ。また明日な!」


沙綺はそう言うと煙草の火を消して部屋を後にした。


透はその背中を見送るとカーテンを少し開いて、沙綺が見つめていた月を見上げた。


「もう…ほとんど満月じゃないか…。」


透は見上げた月が予想以上に満月に近く、目を見開いて驚いた。

その時、空に輝く星達が一部だけ漆黒に切り取られている事に気がついた!


(何故あそこだけ光が無いんだ!?まるで何かの影のように…。)


透は必死に目を凝らして空を見た。


「闇が広がっていく…?
違う!何者かが空から降りて来ている!!誰だ!」


透は窓を開けると空に向かって叫んだ!


するとしばらくして、どこからともなく頭に響く低い声が聞こえてきた。


「我が名はスサノオ。
愚かなる者達に裁きを下す神なり…。」