カチコチ…カチコチ
透はうっすらと意識を回復する中、時計の音をかすかに聞いた。


(う…。寝てたのか俺?)


もぞもぞと体を動かすと、どうやら布団に寝かされている。
薄暗い天井の木目が見えた。

透は起き上がって頭を軽く振ると、あくびをかみ殺しながら周りに目を向けた。


「どこだ?ここ…。」


割と広めの和室、テーブルの他には特徴が無い部屋。当然見覚えも無い。

廊下に出ようと扉に手をかけた瞬間、外から扉を開かれ、透はしこたま顔をぶつけた。


「ふぉおおお!いでえ!」


「あん?何やってんだよ神楽?元気そうだな。」


「沙綺!?ドコなんだよここは?」


透は鼻血が出てない事を確認して、沙綺の顔を見た。

沙綺は部屋の電気をつけて明るくすると、カーテンを閉めながら答えた。


「宿だよ。おまえが気を失ってから御影さんと運んだんだよ。」


「宿?…そうか。」


一応は目的地に着いたという事らしい。
スサノオの襲撃を考慮していても、数日は滞在する事になるはずだ。
透は浮かない表情でタバコに火をつける沙綺を見ていた。