「日出ずる国に神あり…誰かが昔そう言っていたらしいわね。
ま、どうしてなのかは私にも解らないわ。
土地神曰わく、太陽が日の出から姿を現しきるまでが、天岩戸を道として現世と繋いでおける時間らしいの。
…それ以降はいつになるのかしらね…。」


最低でも御霊会のある一年後の今、一番神器の力が強くなるその時まではチャンスが無いだろうと命は付け足した。

もしも防ぐ事が出来たとしたら一年は危機を回避する事が出来る。
そうなれば神器を奪い合う戦いは続くが、うまく行けば神器を封印する事が出来るかもしれない。人間達にもまだ望みは残されているのだ。


「じゃあこのまま逃げ続ける事が出来たら、当面の危機は回避できるんじゃ!?」


「甘いわね坊や…彼が易々と逃がすと思う?そもそもどうやって遠くに逃げる気?」


「どうやってって…今からなら飛行機で外国に一時的に逃げ…。」


「そう、そこが甘いって言うのよ。…人間である以上、交通機関は必須よね?坊やがそれを使う時、他の人間達も当然利用するわ。
つまり坊やは他の人間達も巻き込んで彼の攻撃の犠牲者にするって事ね?」


涼やかな表情のまま語る命に透は唖然とした…。
スサノオは神器を奪う為ならどんな手段も選ばないだろう。

例え世界の崩壊を止めるためとはいえ、罪のない人達を巻き込むわけにはいかない!

透は自分の言った軽率な言葉が招く結果に激しく後悔した。