すると命はニッコリと満面の笑顔でウィンクを返して笑った。


「ふふふ…こんなに楽しい世界が無くなっちゃうのは私も嫌よ。
彼の思い通りなんて全然つまんない。私ってワガママなの。」


「ならばワシ等と協力してくれるんじゃな?利害の一致ならば問題無かろう。」


元は髭をさすりながらそう言った。
しかし命は舌をぺろっと出して同意の言葉を言わなかった。


「それはどうかしら?約束は出来ないわ。でも結果的に協力した事にはなるかもね。
言ったでしょ?私は自由が好きなワガママなの。」


「そうか、ならば無理には言うまい。元々口約束など当てにならんしの。…それと、もう一つ知っていたら教えてほしい事があるんじゃ。」


そう言った元に、命は首を傾げる仕草だけで続きを求めた。


「スサノオはいつ天岩戸を開くつもりじゃ?」


その問いかけに、命は一度目を閉じて一息つくと、空を指さして答えた。


「次の満月が一番神器に力が集まるの…。そしてその時の力によって天岩戸を開く事が出来るはず。
でも天岩戸が姿を現すのは翌日の朝日が昇る一瞬のみ。ここを彼は狙っているわ。」

「朝日が昇る一瞬だけ?たったそれだけなんですか?」


透は意外な答えに目を見開いて驚いた。