「これで良し、着かたはわかったろう?忍の着付けは彩音がしてやるんだぞ?」


そう言ってポンっと帯を叩いた月読に、戸惑いながら彩音は答えた。


「う…うん。今は服の上から着てるから変な感じだけど、妙にしっくりくるね…不思議な感じ。」


月読はその答えに満足して微笑むと、先程の透の質問に答えるためにこちらへ戻って来た。


「さっきの質問だが…どうだろうな?ワシにはわからん。
物理的には全く防御力の無い着物だが、霊的な防御力がどれほどのものなのかは目には見えんからな。」


「じゃあさっきの説明は?」


「あれは実際に使用していた幹矢の先祖が言っていた言葉の受け売りだ。
しかしその者が幾度と無く助けられているのは事実だ。
…召喚士は強力な召喚獣を喚び出せる反面、最も防御が手薄になる系統だ。持っていて損にはなるまい。」


そう言って片付けを終えた月読は透の肩をポンと叩いて蔵を出ていった。

沙綺も彩音に「そういう事だからもらっておけよ。」と告げてその後を追っていった。


「まぁ…いっか。月読が言う事に間違いは無いだろ。これからの戦いに少しでもリスクが減るなら越したことはないしな。
じゃあ、俺たちも戻ろうか。」

透も彩音にそう言って皆が待つ居間へと足を向けた。