「そうだよお兄ちゃん。皆色々考えてるけど、これだけ予想しても打つ手が出ないんじゃ考えるだけ無駄だよ〜。
皆も待ってるし月姉達もそろそろ戻らない?」


彩音は先日より小難しい話が続いていて少し飽きているようだった。

この世界の危機が迫っているというのに、彩音にかかればそんな緊張もバカらしくなる位おっとりして見える。


透は彩音が言う通りかもしれないな…と軽く頭を振って息を吐いた。


「彩音もそう言ってる事だし水嶋様達も待ってる。忍が飽きて怒鳴り込んで来るまでここにいても構わんが…あまりオススメしないぞ?どうする沙綺?」


拾った文献を適当に棚に戻して振り返った透に、沙綺は未だに鼻を押さえたまま頷き返した。


「これ以上俺の鼻を低くされちゃかなわん!それだけは勘弁だ。」


「よし、じゃあとっとと片付けて戻るぞ。」


話がまとまった所で透と彩音は本格的に片付けを始めた。

よくよく見ると文献の本や巻物以外にも沢山の物が置いてある。
どれもがかなりの年代物に見える事から、鬼切丸もここから出したのだろう。

幹矢曰わく、国立博物館にある鬼切丸は偽物であり、透が握った物が本物らしい。それは実際に使用した透にはよく理解できた。