しかし透にそう言われた月読は意外な事に首を横に振った。
「それがワシにも解らんのだ。ワシは元々普通の猫であり、ある時いつの間にか人間の言葉が理解できるようになり今に至る。どうやら自然発生型の妖怪とは少し違うらしいな…?
どちらかといえば物に命が宿る九十九神の方が近いかもしれぬ。」
それを聞いた一同は今まで会って来た妖怪達を思い出していた。
死してまで自分達の邪魔をする強敵鵺…。彼は確かに月読とは全く違う雰囲気があった。
何か他の生物からの派生にしてはデタラメすぎる容姿、そして一貫して善なる心を感じさせない性格。どれもが人間の災厄でしかない。
退魔士の中には人間の欲望や業が思念体として固まった物が妖怪だと説く者もいる。
だから古くから妖怪は存在し、人間の側にいるのだと…。
透は僧正からそんな話もあると聞いたのだが、幼心に「人間が居なくならなければ妖怪は減らないんじゃないか?」と考えた記憶をおぼろげながらに思い出した。
ともかく、自分達はスサノオが神界に帰り今の世を創り変えるものだとばかり考えていたが、それは鵺の言葉や予測からの連想だけであり、実際は違う可能性もあったのかもしれない。
透は溢れかえった妖怪達を想像して軽いめまいと敗北感にさいなまれた。
「それはそれでかなりの痛手にはなるな…。ただでも妖怪ってのは人の手に余る存在だっていうのに。」
ゲッソリとした透に、月読が一言付け加えた。
「まぁ気にするほどでは無かろう。スサノオならわざわざ妖怪を増やさずとも自身のみで十分脅威だとわかっておるはずだからな。」
「それがワシにも解らんのだ。ワシは元々普通の猫であり、ある時いつの間にか人間の言葉が理解できるようになり今に至る。どうやら自然発生型の妖怪とは少し違うらしいな…?
どちらかといえば物に命が宿る九十九神の方が近いかもしれぬ。」
それを聞いた一同は今まで会って来た妖怪達を思い出していた。
死してまで自分達の邪魔をする強敵鵺…。彼は確かに月読とは全く違う雰囲気があった。
何か他の生物からの派生にしてはデタラメすぎる容姿、そして一貫して善なる心を感じさせない性格。どれもが人間の災厄でしかない。
退魔士の中には人間の欲望や業が思念体として固まった物が妖怪だと説く者もいる。
だから古くから妖怪は存在し、人間の側にいるのだと…。
透は僧正からそんな話もあると聞いたのだが、幼心に「人間が居なくならなければ妖怪は減らないんじゃないか?」と考えた記憶をおぼろげながらに思い出した。
ともかく、自分達はスサノオが神界に帰り今の世を創り変えるものだとばかり考えていたが、それは鵺の言葉や予測からの連想だけであり、実際は違う可能性もあったのかもしれない。
透は溢れかえった妖怪達を想像して軽いめまいと敗北感にさいなまれた。
「それはそれでかなりの痛手にはなるな…。ただでも妖怪ってのは人の手に余る存在だっていうのに。」
ゲッソリとした透に、月読が一言付け加えた。
「まぁ気にするほどでは無かろう。スサノオならわざわざ妖怪を増やさずとも自身のみで十分脅威だとわかっておるはずだからな。」