月読はそっぽを向いてへそを曲げたように腕組をしている。

話を切り替えないと面倒な事になりそうな雰囲気だったため、透は話題を元に戻す事にした。


「それで、月読は内容は理解したんだよな?何か新しい事は分かったのか?」


透の問いかけに対して月読は耳だけピコピコ動かしながら返事を返した。


「…正直どれもが信憑性に欠けるな。人間が残した文献なのだから正確な物など無いのかもしれん。…ただ…。」


そこまで言った月読は少し言葉を切って、果たして話す必要があるのか考えた。


「ただ…なんだよ?お前にしちゃ歯切れの悪い回答だな?」


透は足元に散らかった文献を拾い集めながら続きをせかした。


「いや…一つだけ変わった文献があってな、百鬼夜行は妖怪達が溢れかえる行列で、人々に災厄をもたらすものだと書いてある物があった。
…それが丁度妖怪達が現れだした平安時代と時期が重なっていたのが気になってな…。」


「安倍晴明や神楽葉明の居た時代と?…でもそれなら同じ妖怪である月読の方が詳しいんじゃないのか?」


妖怪の存在意義と発生については退魔士となる者は皆知っている事だ。
しかしながらそれもまた憶測に過ぎず、確固たる証拠が無いのも事実であった。