それを聞いて風神も思い出したように指を鳴らした。


「そうだ!なんか見かけねー奴が居たから遊んでやったんだ!
あの頃は良かったぜ、八百万の神達も器無しでも現世に居れたんだからな。」


「うっそ!アンタが現世に興味有るなんて信じらんないんだけどー!」


雷神は今の発言に驚いて風神の顔を覗き込んだ。


「んだよ!たまには気にしたっていーじゃねーか!いちいち見んな!」


風神は立ち上がると再び東京の街並みを眺めた。


「ガスだか何だかしらねーが濁った空気だぜ…。雷神、そろそろ戻るぞ。」


風神は長ランをはためかせながら主の元へと飛んだ。


「マジ!?もう行くわけ?せっかく来たから遊びたかったのにぃ!信じらんない。」


そう言って名残惜しそうに見下ろした雷神も、諦めをつけて風神の後を追った。