ワタワタと暴れる月読をよそに、幹矢はたんこぶをさすりながら頭を上げた。


「ひどいなぁ、まだそう決まった訳じゃないだろ!?」


「じゃあ理由は何だ?」


「え〜と…あれ?殴られたせいで瞬間的に記憶が…。」


「くっ!!離せ忍!彩音!もう一発入れなきゃ気が済まん!!はーなーせー!」


(…何やってんだこいつら…。)


透は沙綺と並んで硬い笑顔でそれを見ていた。

すると幹矢がとぼけた顔をやめて咳払いをした。


「ゴホン!…まぁウチの猫をからかうのはこの位にして、本題に入ろうか。」


そう言う幹矢は、やはり何かの理由があっての提案だったらしい。
暴れる月読以外は割と冷静なまま幹矢の言葉を待っていた。


「守りに徹していてもジリ貧、攻めに出ても玉砕するのが見えてる。ならば僕達が生きたまま出来る最後の賭けがもう一つあるじゃないか。」


「それがスサノオに神器を渡す事なんですか!?…でもそれは結果として決して良くは無いはずです!!」


透は幹矢の話が理解できずに真意を求めた。