「しかし…現状から言えば新たな退魔士を育てる時間も無く、守りに徹する事が出来るほどの戦力もありません。
ジリ貧で負けるのが見えているならば、こちらから打って出る方がまだましな気もしますが…?」


御影がさりげなく出した提案は誰もが考えた上に即答しがたい物だった。

馬頭が話していたように器を得た事によって弱体化した神々…。
されどあくまで彼らの中での話であって、人間達からすれば脅威に他ならない。

最低でもスサノオを入れて五人はいる相手に、自分達の戦力では1%の勝機すら無いように感じられた…。

その時である、幹矢が頭をポリポリかきながらとんでもない提案を出してきた。


「ん〜、いっそのこと渡しちゃった方がいいかもね?神器。」


人差し指を立ててニッコリ笑った幹矢に、真上から凄い勢いで月読のゲンコツが振り下ろされた!


「愚か者!!お前は何を考えとるのだ!!今までの成り行きを忘れたのか!?」


プンプンと拳を振り回す月読を、忍と彩音が必死に押さえつけて止めた。


「月姉、怒るのは理由を聞いてからにしようよ!不動さんの事だから何か理由があって言ったのよ!」


「離せ!ワシは赤子の頃から見てきたから分かるんだ!今のは適当に言っておいて後から理由を考える顔だ!!あのにやけ面は間違いない!」