「多少は効果があるみたいだけど望む程の効果は出ない…か。
月読と忍の頭の傷位なら治せそうだな…。
透、祓いきれなくて済まないね…。」


幹矢が無力感を感じながら背を向けた時、透の口が開いた。


「おい、今霊力を注いでやがったのはテメーか坊主?」


幹矢はどこかで聞いた事のある声に振り返った。
しかし透は目を閉じたまま相変わらず包帯だらけで動いてはいない。


「どこ見てんだよ!神楽の坊主癒してーんだろ?俺様が力貸してやるよ!」


パクパクと口が動いて話しかけてきた声は透の物ではなかった。


「…まさか、酒呑童子かい!?」


幹矢は思わず半歩後ずさりながら目を見開いた。