「あ？何だよ違うのか？近く見えるだろ？ここだぜ？」


地図上を指さした沙綺に向かって透はため息をついた。


「今は近いけど駅から見たらかなり離れてるぞ？
まぁいい、ここまで来たならすぐそこだ。行こう。」


透は気を取り直して荷物を持つと、沙綺に変わって前を歩き始めた。

地図を見る限り次の交差点を曲がった先にあるはずだった。


「それにしても不動さんに連絡入れなくても良かったのか？」


透は顔だけ横に向けるとジュースを飲みながら歩いている沙綺に問いかけた。


「ん？連絡先しらねーもん。まぁ、事態が急だから大目に見てくれるさ！いきなりの訪問でも嫌がられる仲じゃないだろ？」


「確かにそうかもしれないけど…。」


沙綺の答えにいいのか？と少し疑問の表情をした透だったが、ここまで来てから言っても仕方がないので諦めることにした。