「三大妖怪とまで言われてる鵺を失ったのは少なからず痛手なはずよ?
残りの二体は九尾の私と坊やの酒呑童子…。
あら、もう味方に居ないじゃない。」


命は意地悪をしてからかうように目を細めて笑った。

暗闇の主はしばらくその様子を見つめた後、落ち着いたままの口調で答えた。


「…確かに奴以上に強い妖は他にはおらんな…だが良いのだ、時は満ちた。」


口をニヤリと吊り上げて笑う主の様子に、命は胸騒ぎを感じた。


「…時?まさか鵺は単なる時間稼ぎでしかなかったって言うの!?」


驚く命の様子を楽しそうに見つめて主は続けた。


「…その通り、妖怪共が首尾良く成果を出すとは最初から思ってはおらん。
…所詮奴らは時間稼ぎ。この地に四天王達を呼び寄せるまでのな。」