透は今まで見てきたこの夢の事を思い出していた…。


(随分と俺が知ってる話とは違うようだな…。
鬼退治に向かったのは剣の腕が確かな勇気ある男達…、源頼光とその四天王だけだったはず?)


確かに神楽葉明は、安倍晴明の裏方をこなす陰陽師だったと聞いていたが、酒呑童子の討伐隊に参加していたとは聞いていなかった。

しかし百聞は一見にしかずということわざもある。
透は自分が干渉する事が出来ないこの歴史の行く末を、しっかりと見て帰ろうと再び誓った。


(それにしても俺のご先祖様は随分と大雑把な性格だな…。まるで沙綺を見てるみたいだ。)


ふと沙綺の顔を思い出した透は、アイツが葉明の転生した姿じゃないかと想像して苦笑いを浮かべた。