そして全ての鬼達が去り、再び風に揺れる木の葉の音だけが聞こえるようになった。


「…取りあえず…一回戦突破…か?」


ゴクリと喉を鳴らした葉明は乾いた声を漏らした。
ホッとして肩の力を抜いた頼光達は、どっと疲れたように汗を拭った。


「さすが葉明殿、無理を承知でついて来てもらって良かった…私は声すら出ませんでしたよ。」


頼光は青ざめた顔でそう言った。


「いや、まだ何も始まっちゃいないさ。ひとまず奴らが怒り出す前に住処へ向かおう。」


そう言って背を向けた葉明に、松明を拾い上げた一同は彼に続いて歩き始めた。


そんな彼等の知らない所でその姿ををじっと見ていたのは透だった…。