鬼がそう叫ぶと、一気に周りの鬼達の殺気が満ち溢れてきた!
しかし葉明は怯むわけにはいかず、必死に声を張り上げた。


「理由はあります!酒呑童子様をこの山の守り神として崇めさせていただきたいのです!
…最近都周辺には様々な妖怪が現れるようになりました。
しかし、酒呑童子様ほどの大妖怪が居るとわかれば他の妖は恐れて近づかなくなります!
俺達は貢ぎ物をする代わりに、その名の威光をお借りしたいのです!」


葉明はとっさの思い付きで賭けに出た…。
この話に鬼達が乗らなければ自分達は即座に喰われてしまう。

葉明は額から流れ落ちた汗すら気を止めずに様子をうかがった。


それからしばらくガヤガヤと鬼達が話し合う声が聞こえると、一気に静けさが戻った。


『良かろう…お頭に会うがいい。この先を進め。』


そう言い残すと、次第に光る目の数が減っていった。