晴明は前鬼の横まで歩いて来ると、目を細めて答えた。


「いかなる理由があろうとも妖の言う言葉に耳を貸すつもりはない。
私の前に姿を現したのが失敗だったな…天に滅せよ!」


「もぅ、聞き分けのない坊やねぇ‥分かったわよ帰ればいいんでしょ?」

再び飛びかかろうとした前鬼と呪符を構えた晴明を見て、玉藻は一気に跳躍すると庭の木の上に飛び乗った。


「またね坊や、しばらくこの国にいるつもりだから気が向いたら遊びましょう。フフフ。」


玉藻はいたずらそうに笑うと背景に溶け込むように姿を消した…。


「…前鬼、お前の斬撃が初撃でかわされたのは初めてだな…?」

「すみません旦那、ああ見えて奴は上級妖怪のようです。
どうやら妖力を抑えていたみたいですが鳥肌が立ちました…。」