荷台には他に米が3俵、酒樽四つ、野菜が出来る限り載せられていた。


「仕方ありません。民達の命を失うことに比べれば背に腹は代えられないのですから。」


頼光は必ずや平和を取り戻すという意気込みを込めて言った。


「…それにしても鬼達に警戒されないためとはいえ、結界を張ることすら出来ないのが心細くていけねえ。」


葉明は刀一つ扱えない自分が、鬼と対峙する事を考えただけでも気持ちが沈んできたのだった。


「あくまで我々は村人なのですから我慢して下さい。そうしなければ怪しまれて死期を早めるだけですから。」


「…死期ねぇ…俺に交渉役を頼んだ時点でヤバいと思うぞ…。」


結局一夜明けても何も良い案が浮かばなかった葉明は半ば投げやりであった。