時遡ること1ヶ月前…


この断崖絶壁にそびえる、世界でも有数企業の本社ビル最上階。

その海を一望できる窓から、シンタロウは沈む夕日を見つめていた。

ここにいても、夕日が赤いのはあの島と何も変わらない。

父親にどうしても、と、泣きつかれ、この組織のトップになったけれど、あの島を思い出さない日は1日だって無い。

あの島の思い出…
それだけが、この目まぐるしい生活の唯一の癒しだった。