「そいつの代わりでいい、あんたの哀しみがいつでも拭える位置に居てくれよ。
それが、俺のここに居る理由になるからよ…」


あの島のみんながそのままの自分を必要としてくれたみたいに、
総帥としてじゃない自分を、
あの島の雰囲気を持つこの女に必要としてほしい。

それが自分の存在意義だと信じたくて…



「……代わりになんか…できない…っ。

あの人は、そんな優しいこと言わない…

いつも厳しくて…自分の足で歩け…って…

…待っててくれなきゃ…歩く気力も無くなっちゃうのに…」


必死に言葉をつむぐサクラの頬にシンタロウは優しく触れる。


「…待ってて…くれますか?」


サクラはまっずぐとシンタロウの瞳を見つめた。


「ああ。」


優しく、壊れてしまわないように、引き寄せ、抱きしめる。


サクラはその腕に体を預ける。