「俺、あんたが好きだ。」

シンタロウの突然の言葉にサクラの笑顔はかき消され、驚愕に変わっていく。


「………今、なんて言いました?」


そう返すのが精一杯で…


「あんたが好きだって言った。」


「………………………………私のこと…知って…?」

「いや、名前も知らねぇ。」


そのあっさり加減に、サクラは脱力した。


「じゃあ、なんで…?」


「上からずっと見てた。」

「上?」


サクラは真っ赤に染まった空を思わず見上げる。


「違う、違う。
あそこ。」


シンタロウが笑いながら指差す先はビルの最上階。

サクラはポカンと口を開けて見上げる。


「……あんなとこから見えるんですか?」


「目はいい。」


口を開けたままシンタロウに視線を戻す。


心臓を鷲掴みにされたような真剣な瞳…


「好きだ。」