総帥が遠征から帰ったので、専用機内の救急道具のチェックと補充をサクラは言いつけられた。

それを手早く終わらせて外を見ると、夕日はもう沈みかけていた。

急いであの場所へと走る。

「…はぁっ…間に合っ……」


息を切らして着いたいつもの場所に1人の男の背中があった。

大きな背中の男…



『よぉ、遅ぇじゃねーか。』



(っつ…!
……部長っ……!?)


あの人の笑顔が見えて、その背中から思わず目をそむける。


(……違う…ここに居るはずが…ない…)


息を整えてもう一度目を向けると、黒髪が風に揺れて、その背中が総帥のものだとやっとわかった。