そして、新入生歓迎会が始まり、
メインの部活動紹介の時間。

部長らしき人と
それに続いて10人ぐらいの人が
ステージに上ってきた。

「私達吹奏楽部は、
顧問に石垣先生、
小野原先生を迎えて、
毎日一生懸命練習を
続けています。」

私は、『石垣先生』という名前を聞いて
あることを思い出した。

初めての音楽の授業の時、
音楽の臨時教科係になってしまい、
麻耶と一緒に音楽担当の
石垣先生に教科連絡を聞きに言った。

「…ところで、石垣先生って…誰?」

そう、私は肝心の石垣先生という人物を
全く知らなかったのだ。
入学したてなので、当然といえば当然だが
そんな大切なことを今まで失念していた。

「そういえば、知らなかったね。
えっと、この学校の音楽の先生は、
石垣先生と小野原先生がいて、
男の先生と女の先生なんだよ。」

麻耶が知っている情報を
話してくれた。

「そっか~」

私は『石垣』という苗字を聞いて、
勝手に男の先生を想像していた。

「じゃあ、他の先生に訊いてみようよ!」

「うん。そうだね。」

そう言いながら目に留まったのは、
若くて可愛い女の先生だった。

「ねえ、あの先生に訊いてみるね。」

「うん、頑張ってね~」

その女の先生に小走りで近寄って、

「あの、すみません。
石垣先生ってどこにいますか?」

と訊いてみた。