真田先生と
教えにきてくれた先輩の
説明を聞いて
すぐに入学式が始まった。

入場のために椅子
を持って整列し
足並みをそろえて
体育館へと向かう。

さすがにみんな
緊張しているのか、
誰も言葉を発したりせず
ピリピリとした
空気を作りだしていた。

体育館に着き
入り口前で一度待機する。
そして、拍手に出迎えられ、
私達一年生は
1組から順に入場した。

このときは
ただただ失敗しないように
ということしか
頭にはなかった。

生徒会長のお話があったり、
校長先生のお話があったり、
予想はしていたけどやっぱり
お話だらけの会だった。

こんな会は、何回やっても
飽きるし疲れてしまう。
それに緊張も加わって、
私の疲労はもう
ピークに達していた。

しばらくすると
少し余裕が出てきて
私は他のクラスメートを
ちらちらと見渡してみた。

やっぱりみんなどこか
緊張しているようだった。
私も人のことは言えないのだけど。

キョロキョロと辺りを見回して
私の目がある一点で止まった。

そこにいたのは、
どこか皆と違う
上品な雰囲気を持っていた、
綺麗なこげ茶色の肩までの髪に
意志の強そうな美しい瞳の
―のちに大親友となる
『稲木麻耶』だった。