最高に楽しくて
たくさんのことを学べた
体験入部も終わり
私と麻耶は、一緒に
入部届けを提出した。

そのころには
友達も徐々にできてきて
何だか順調な毎日。

本格的に練習が始まる
のはまだ先だったけど
部活に入った生徒全員が
放課後に体育館に集まり
それぞれ自己紹介をする
時間があった。

しかし、自己紹介が
大の苦手な私にとっては
やっぱり憂鬱だった。

運動部に入った友達が
次々と自己紹介を
していくのを
ただ聞いている。

不安な気持ちが大きいけど
救いだったのは
隣が麻耶だったこと。

吹奏楽部の順番は
一番最後だった。

とうとう私の順番。
ゆっくり立ち上がる。

「わ、私は西沢璃子です。
吹奏楽部に入ったので
私なりに頑張ります。
よろしくお願いします。」

支離滅裂もいいところ。
適当な自己紹介だった。

そして、私の次は麻耶。

「こんにちは、稲木麻耶です。
私はこの吹奏楽部で、
どんな楽器の担当になっても
自分が出来る最高の演奏を
出来るように先輩方に
常に学ぶという意識を持ち続け
向上心を忘れないように
心がけたいと思います。
ご迷惑をお掛けして
しまうかもしれませんが
その時は厳しくご指摘を
いただけると有難いです。
これから宜しくお願いします。」

びしっと前を向いて
目を逸らさないで
強い瞳で正面を見ている。

このとき、私は
本当に麻耶がカッコいい!
と思ったし
麻耶の友達であることを
本当に誇りに思った。

とても1年生には思えない
しっかりした自己紹介に
先輩はもちろん、
先生たちだってすごく
驚きの表情を浮かべていた。