置き傘しといてよかった。


ソラは紺の傘をさして家へと急ぐ。


相変わらずの大雨で、止みそうにない。


今日の天気予報では晴れと言っていた。


おそらく傘を持っていなくて困っている人も多いのだろう。



雨が周りの音を消す。


まだ七時過ぎなのに今日はいつも以上に人が少なかった。


早く帰ろう。


今日は兄さんは出張だったはず。


家には母さんが一人だ。


ソラの歩みが速まった。


いつもと同じ帰り道。


ソラは公園の前を通りかかった。


雨降りのため公園には人などいるはずもない。


そう思って通り過ぎようと思ったとき、ふと公園の明かりの下に人影が見えた。


不審に思ったソラは目を凝らしてみてみた。



「狩野!?」


それは雨にぬれてベンチに座ってうつむいている美咲の姿だった。