「じゃあ、次はドリブル!」


「はい!」


キャプテンの声に部員全員が大きな声で返事をする。


「おっ、河合、いいな」


コーチがソラのドリブルを褒める。


「うっす」


ソラは軽く頭を下げた。



練習が始まってから1時間ほど経った頃、先ほどのよい天気は嘘のように、空は分厚い雲に覆われ始めた。


「雲行きが怪しいなあ。練習後は愛子とのデートやのに・・・」


勇太郎は恨めしそうに空を仰いだ。


「おい、時枝!」


「あっ、すんません」


監督に怒鳴られ、勇太郎はすぐに練習に戻る。


「もう…」


そんな様子を愛子は傍で呆れながら見ていた。