ともにソラと楓が夕飯を食べ終わったころ、玄関の鍵が開く音がした。
「ただいま」
友信が会社から帰宅した。
時間はもうすでに夜の11時前である。
「兄貴、おかえり」
「おお、高空。ただいま」
友信はネクタイをゆるめながらソラに笑顔を向けた。
友信はどんなに疲れていても必ず笑顔で家に帰ってくる。
それが母と自分を心配させないためだということをソラはよく知っていた。
だからこそ、ソラは兄への尊敬と憧れの念が人一倍強かった。
「じゃあ、俺、ちょっと仮眠取ってから勉強するわ」
「そうか。あんまり無理するなよ」
友信はソファから立ち上がったソラの頭をぐしゃっと掻いた。
「母さんも早く寝なよ」
「はいはい」
母と兄の笑顔を見て、ソラは自分の部屋へと戻って行った。
リビングからは兄と母の話し声が聞こえる。
ソラは一息ついてからべっっどに横になり、眠りについた。