でも、考えてみたら俺が奏真みたいになれるわけがないと思う。

クールにもなれないし、爽やか笑顔にもなれない。

むしろたぶん笑われる。


――一体、どうすればいいんだろう……?


「アンタ相変わらずバカねぇ」


さっそく鈴姫に相談した。


「憧れの人になりたくても男女で扱いが真逆で困る?ってかそれ東遠くんでしょ?」

「な……!?」

「わかんないわけないじゃない。ったくホントバカ」


……鈴姫にはわかっちゃうのかぁ……。


「それに、全部を丸々真似しなくてもいいじゃない。そういうのは一部でいいの」

「い、一部?」

「東遠くんなら……女の子に優しく接するとことか、冷たいとこは抜かしてね。あと男にさり気なく優しくなるとことか、そういうとこだけでいいの」