翔はスプーンを止めてから言った

「条件1つ増やす」

「条件?」

「ここに住んでいい条件」

どんな展開だよ

「………何?」

あたしは息をのむ

ひどいのだったらいやだな

「奏のこと好きになったら出てけ」

「………はぁ?」

思わず呆れた声が出た

なんないしっ

てかそれだけ?

「俺 風呂入る」

「………うん」

拍子抜けしたし

翔はお皿を流しまで運ぶと振り返った

「ごちそうさま 旨かった」

「……。」

翔が微笑んだ

あ……笑った!!!

心の中でガッツポーズ

ちょっぴり優越感に浸りながらあたしは食器を片付け始めた

やればできんじゃんあたし

1ヶ月以内に…まぁ 最終日にでもまた作ろ

オムライス


――ピンポーン

「ん?」

こんな時間に誰か来た

――ピンポーン

「はいはーい 今出ますよぉ」

浮かれるあたしはスキップで玄関へ

「チャイムなっても梨紗は出るな」とか言われてるけど

翔はお風呂だし

仕方ないよね~

宅配便かもしんないし

――ガチャン

「はいっ」