「カンちゃん?」



ぼーっと校舎を見上げてると、不意に声がした。振り返るとそこには、黒髪の如何にも鬼畜が似合いそうな表情の男の子が私を見つめている。



カンちゃん…それは、小さい時の私のあだ名だ。今はカンナって名前で呼ばれるのが多い。



「あなた…誰ですか?」



「ひっでーよな。あんなに一緒に風呂入ったなかなのに。俺は、覚えてるよ?手触りだってこんなに覚えてるのに」



「え!?」



思わず目を丸くしてしまう。



「アラタ!何本気で口説いてんだよ!」



ポカっとアラタと言う人は、頭を叩かれた。



「ひっでー!元(ハジメ)…もとはと言えば、元の命令だろうが」



「それは、好きな奴に言えって言ったんだろうが!」



話が良く分からない私は、二人の会話をきょとんとしながら見つめた。



なんの話なんだろう?