鼻の穴からスイカが出るくらいとは言うけど




腰から身体が半分に割られるみたいだった



ずっと伊織くんは手を握って



少々、ビビってるようにも見えたけど



私を励ましてくれた


でも不思議だな



あんなに痛かったのに



赤ちゃんが出たとたんに



痛みが消えた





「可愛い女の子ですよ」




看護師さんが分娩台の私の胸に白いタオルにくるまれた赤ちゃんを乗せる




眩しそうに目を細めて



唇をモゴモゴ動かしてる



「空(ソラ)………可愛い…」



私の声に看護師さんが



「そうそう声かけてあげてね

赤ちゃんは毎日お腹の中でお母さんの声を聴いてたから

お母さんの声はわかるのよ

名前、もう決めてあるんだ?」




伊織くんも、そっと空の頬を指でなでた



「…ありがとう風羽ちゃん」




今まで見たことがない
幸せそうに笑う
伊織くんの顔見たら



あんなに痛いなら空は一人っ子だ



そう決めてたけど




もう二人くらい
産んであげてもいいかなと



早くも
家族計画を思い描いたりして