だったら………
「どうして私に言ってくれなかったの?」
茜音さんと うまく行かなかったなら
私のところに すぐ来てくれれば…………
唇をとがらせて言った私に
伊織くんは苦笑いをして
「言えないよ。言えるわけない
オレが風羽ちゃんを傷つけたことは確かだし
君がオレを想って別れを告げたんだ
オレみたいな優柔不断で
情けない男なんかよりも
しっかりとした強い男と幸せになって欲しかったし
やっぱり色んな人を傷つけた自分が許せなかった
風羽ちゃんに甘えて自分だけ幸せになんて…………」
伊織くんは眉を寄せて
目を固く閉じた
「オレが幸せになる資格なんてないんだよ」
バカだなぁ
優しくて 繊細で
だけど弱くて脆くて
格好つけて
幸せになる資格ないなんて
伊織くんらしくて
すごく愛しいよ