そっか
だから、毎週、空羽に花を手向けるんだ
「てっちゃんはまだ、空羽を愛してる?」
てっちゃんは寝転んだまま
車の天井を見つめて
しばらく黙り込んだ
「空羽のことは」てっちゃんが やっと口を開いた
「空羽のことは好きだ
でも、なんか別次元って言うか
愛してるけど、だからって
この先、マジで恋愛しないとか思わないし
うん
多分ちゃんと自分の中で
空羽のことを引き出しの中にでも
大切に仕舞えてるんだと思う」
私も伊織くんを
てっちゃんのように
心の引き出しに仕舞える
「なんか、私たち似てるね?」
私もシートを倒して寝転んで
てっちゃんの真似して
頭の下で手を組んで枕にした
「オレはお前みたいにメソメソ泣かなかったぞ」
てっちゃんは意地悪な笑顔を浮かべた
「はい、はい。メソメソしてごめんねぇ」
てっちゃんはクスクス笑って
「似た者同士、付き合うか?」