車のエアコンを強くして
「めちゃくちゃ寒かった」
てっちゃんは運転席で両手を擦り合わせた
私は助手席で
「で、空羽とは………」
てっちゃんはシートを倒して
寝転んで
頭の下に両手を組んで枕にした
「あれは………
空羽が高校の時だったかな」
てっちゃんは遠くを見るような目をして話し始めた
「空羽が心臓の発作起こして入院したことあっただろ?」
私は すぐに思い出した
実際その時
かなりヒヤリとしたんだ
空羽は危なかった
あれは高校1年の秋だったかな
「落ち着いた頃にオレ1人で見舞いに行ったんだ
珍しく空羽が落ち込んでて
驚いた
辞書で【前向き】って調べたら
【空羽のこと】って書いてあるんじゃねぇかってくらいの性格だったから」